2024.05.15
そもそもガスタービンとは?
弊社では川崎重工業製のガスタービン発電機の設置、メンテナンスを行っています。
過去の記事の中で‘ガスタービン発電機’に関する記事が登場しており、
熱心な読者の皆様におかれましては何度も目にしている事と思います。
筆者も‘ガスタービンについて結構、記事があるな~’なんて思っていましたが、
そもそもガスタービンってなんや?という記事がない、
という事に気が付きました。
…………これは機械ヲタクのワタクシの出番ですな。
ガスタービン、ガスタービンってなんだ?
ガスタービンとは何か??
燃料(灯油等の液体燃料、天然ガス等)を燃やして動力を得るエンジンの一種です。
車のエンジンも同様に燃料を燃やして動力を得ていますが、
ガスタービンの場合は燃料を燃焼させて
発生した‘ガス’を‘タービン’という部品に当てる事で動力を得て、物を動かしています。
動作の概要としては
- まず、大量の空気を吸い込む
- 圧縮機と言われる部分で空気を圧縮
- 圧縮機で圧縮された高圧の空気に燃料を噴射し燃焼器で燃焼⇒高温高圧の‘ガス’になる
- 高圧高温となった‘ガス’が‘タービン’(簡単に言うと扇風機の羽根の様な物、
実物はもっとカッコイイ)に当たり、‘タービン’が回転 - この‘タービン’が回転する力を利用して物を動かします、
また、この回転する力は②の圧縮機を回転させる力にも利用します
《ガスタービンエンジン(ジェットエンジン)を後部より覗く、奥に見える放射線状に伸びている羽のような物がタービン》
空気を吸い込む⇒空気を圧縮⇒燃料と混ぜ燃焼⇒排気
というこの流れは一般的な車のエンジンと同じですが、
車のエンジンは吸気、圧縮、燃焼、排気の工程が一つずつ行われているのに対し、
ガスタービンエンジンは全てが連続的に、
吸い込みながら、圧縮しながら、燃やしながら、排気しながら、吸い込みながら、圧縮し…
と連続的、且つ同時並行で動作しています。
…大体はこのような物です…結局一体何者か、想像できませんよね?
《ガスタービンエンジンの内部機構の概要(上)とレシプロエンジン(下)の燃焼サイクルの比較》
出典先:https://www.khi.co.jp/energy/gas_turbines/outline.html
比較的身近に使われていて、想像しやすい物の例えとしてはヘリコプター。
大きなプロペラを回して飛んでいますよね?
ヘリコプターはガスタービンエンジンを積んでいて、それで大きなプロペラを回して飛んでいます。
もう一身近な物、想像しやすい物で言うと
ジェットエンジンがわかりやすいかと思います、
そう、旅客機の羽の下についているアレです。
アレもガスタービンエンジンの一種であり、内部の機構、
燃焼の仕組み等はほぼ同じと思って頂いて良いかと思います。
ただし、ジェットエンジンは排気ガスの圧力で飛行機を前に押しだして、飛行機を飛ばしています。
そもそも、ガスタービンエンジンは分類的には‘タービン機関’の一種であり、
タービン機関自体は火力発電所や原子力発電所、
はたまた船舶のエンジン等に用いられていますが
それを語り出すとキリがないのでまたの機会に…
で、ガスタービンってどうなのよ??
‘ガスタービンエンジンは回転力を使って物を動かす’と言いましたが、
それって車のエンジンも同じじゃない?とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
一般的な車のエンジンはレシプロエンジンと言われるタイプの物ですが、
このレシプロエンジンに対し、簡単に説明しますと
ガスタービンエンジンには下記の利点があります
- おなじ出力(馬力)なら軽量、コンパクト
- 大出力化が容易
- 全て回転運動なので振動が少ない、静か
- 色んな燃料が使える雑食性、低質な燃料も使用可能
他にも多々ありますが、このような利点があります
車にも使えるんじゃないの? コンパクト、軽量なら尚更いいんじゃないの?
とお思いかもしれませんが
- 内部の機構的に回転速度を急激に変えにくい⇒車の様に速度変化が大きい乗り物には使いにくい
- 排気ガスの温度がすごく高い
- 効率が良い回転範囲、温度帯等を外れると燃費が悪い⇒回転変化、速度変化が大きい車のエンジンには向いていない
等、諸々があり一般的な車での使用には向いていません。
一部例外として、‘とある特殊な車’では採用し大々的に運用している実績がありますが、
上記のデメリットに対しては
運用者の莫大な資金力と無尽蔵な兵站、努力、パワーで何とかしているようです。
《採用している‘とある特殊な車‘。車である事には間違いない………間違いないよね?》
出典先:https://www.dvidshub.net/image/1593245
非常用発電機におけるガスタービン
以上がガスタービンエンジンのあらましとメリット、デメリットです。
では、非常用発電機におけるガスタービンはどうなのか?
非常用発電機に用いられるエンジンとしては、
このガスタービンエンジンの他に、ディーゼルエンジンがあります。
ディーゼルエンジンもレシプロエンジンの一つであるので、
先に書いた事と繰り返す事になりますが、
ディーゼルエンジンに対し下記のメリットがあります。
- 軽量、コンパクト
軽量かつ省スペースにより設置する場所の選択肢が広がります。
- 全て回転運動であり、振動が少ない、静か
ガスタービンエンジンは発生音が高周波であり、
ディーゼルエンジン特有の低く響くような音、振動が無く、騒音対策が容易です。
振動が少ない為、動荷重(機関運転時に地面にかかる荷重)も質量の1.1倍であり、
ディーゼル発電機の質量×2~3倍から比べると小さく、
ガスタービン自体が軽量な事もあって据付に特殊な工事が不要です。
- 高速回転による瞬時過負荷耐量
ディーゼル発電機に比べ回転速度が遥かに高速(18,000~53,000rpm)であり、
また、車で使用する際にはデメリットとして挙げた
‘内部の機構的に回転速度が変えにくい’特性も相まって、優れた瞬時過負荷耐量を有しています。
その他には、燃焼方式により大気汚染物質である
SOX、NOXの発生を抑えており、環境面でも優れています。
ガスタービンエンジンは元々、軽量・コンパクト・大出力である事から
高速化を望む航空機用(主に軍用機)のエンジンとして開発され、現在でも先に挙げた例の通り、主に航空機に搭載されていますが、非常用発電機として用いた場合にも数多くのメリットがあります。
また、過去の実績として2011年に発生した東日本大震災において、
定期点検を行っていた川崎重工業製ガスタービン発電設備は
100%の稼働率を示しており、優れた耐震性も有しています。
今年、1月1日に発生した能登半島地震においても
弊社がメンテナンスを行っているガスタービン発電設備も100%の稼働率を示し、
重要負荷のバックアップに寄与しました。
このように優れた性能、信頼性等を兼ね備えた
ガスタービン発電設備ですが、それは日々のメンテナンスがあっての事。
非常時に確実に負荷のバックアップを行うため、
期待された性能を発揮するためにはメンテナンスが重要です。
数々の優れた点のあるガスタービン発電設備、ご興味のある方、
ガスタービン発電設備のメンテナンスのご依頼は
石川県の川崎重工業製発電設備の代理店である、東亜電機工業へお問い合わせください。
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この記事はTECS事業部が執筆しました。