2022.01.19
直流電源装置(整流器)の歴史と将来
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直流電源装置(整流器)は発電所、変電所、鉄道施設、水処理施設、医療施設、
放送局、工場、ビルなど、様々な分野で使用されていますが、日本における
その歴史と技術変遷について概要を掲示します。
【回転変流器】
1912年5月11日、信越本線 横川駅ー軽井沢駅間の碓氷峠アプト式区間が
日本の幹線として初めて電化された際に出力電圧600Vの回転変流器が使用されました。
回転子と巻線が交直両方で共用され、直流側リードは各整流子セグメントに接続し、
2組のブラシで直流負荷側に接続される直流電動機・発電機の構造
変圧器に起動タップを設け、約40%程度の電圧で起動
当初:タップ切換のために電磁接触器または油入切換開閉器等を使用
↓
起動用直列リアクターによる全電圧起動
(起動装置の簡素化)
特徴:(短所)起動盤等の付属設備が必要
(短所)回転機の整流子の保守が必要
【画像引用】
日立評論第36巻第3号(昭和29年3月)
最近の電鉄用回転変流器制御装置に就いて
第9図 操作説明図
【画像引用】
wikipedia
回転変流器基本構造図
静止型直流電源装置(整流器)の登場
【水銀整流器】
1900年 アメリカ人のクーパー・ヒューイットが水銀アークの整流性を
利用してガラス製水銀整流器を発明
ガラス製水銀整流器:6陽極ガラス整流管(従来型)
GSユアサ(旧日本電池):1935年に1号機納入
↓
相管式(4陽極)ガラス製水銀整流器:大容量化、長寿命化
GSユアサ(旧日本電池):1949年に1号機納入
鉄製水銀整流器:(主に電鉄用)1920年にヨーロッパで研究開始
特 徴
ガラス製(短所)水銀蒸気が励磁される事によって紫外線が発生するため、
直視すると、目に悪影響
鉄 製 (短所)真空ポンプを常時運転する必要がある
(短所)水銀蒸気による汚染の可能性がある
【画像引用】
日本電池株式会社(1995年)『GS News Technical Report100周年記念号』
GSにおける電源システム技術のあゆみ
図1 相管式グライター水銀整流器回路図
【セレン整流器】
セレンのP型半導体としての性質を利用した整流器
自身で電流を制御する機能なし(普通型)タップ切換
GSユアサ(旧日本電池):1947年に1号機納入
↓
自動定電圧制御(可飽和リアクトル式):保守の無人化
特徴:(長所)信頼性が高い
(短所)許容電流や耐電圧が低い
用途:比較的小容量で信頼性を重視した電話用が主流
【引用】
日本電池株式会社(1995年)『GS News Technical Report100周年記念号』
GSにおける電源システム技術のあゆみ
図3 浮動用セレン整流器回路図
【シリコン整流器】
1955年 シリコン整流素子がアメリカで発明
シリコン整流素子の機能はセレンと同じ
GSユアサ(旧日本電池):1959年に1号機納入
↓
自動定電圧制御、高電圧・大電流化
特徴: ⇒(長所)低コスト ・信頼性が高い
(短所)技術的発展性がない
用途:電鉄用など
【画像引用】
日本電池株式会社(1995年)『GS News Technical Report100周年記念号』
GSにおける電源システム技術のあゆみ
図8 自動定電圧シリコン整流器回路図
【サイリスタ整流器】
単結晶シリコンを母材としたP型半導体とN型半導体を接合したP-N-P-Nの4層構造
(三端子のスイッチング素子)
外側のP層:陽極のアノード(A)
外側のN層:陰極のカソード(K)
内側のP層:ゲート(G)
GSユアサ(旧日本電池):1962年に1号機納入
出力電流が定格電流以下 ⇒ 定電圧制御
出力電流が定格電流超過 ⇒ 定電流制御
現 在 ↓
三相入力:純ブリッジ回路(6SCR)
単相入力:混合ブリッジ回路(2SCR)
特徴:(長所)信頼性が高い
(長所)小容量から大容量まで対応
(短所)入力電流波形に大きな歪みを発生させる
商用周波数の波形を直接断続させて出力を一定電圧・一定電流に制御している
2022年現在も主流の整流器
【画像引用】
株式会社GSユアサ製品技術資料
一般用直流電源装置 TRUSTARーS サイリスタ整流器
2 整流回路
図7 単相混合ブリッジ回路図と電圧波形
【画像引用】
株式会社GSユアサ製品技術資料
一般用直流電源装置 TRUSTARーS サイリスタ整流器
2 整流回路
図10 三相純ブリッジ回路図と電圧波形
【スイッチングレギュレータ整流器】
電源装置内部の動作周波数を高周波化し、トランスを小型化
ユニット方式(n+1)台並列冗長で高信頼性化
GSユアサ(旧日本電池):1979年に商品化
↓
現在:IGBT PWM制御
特徴:(長所)入力力率が高い
(長所)入力高調波抑制
(長所)将来の負荷増設に対応可能
ユニット最大搭載数迄
(短所)高コスト
用途:主に通信用(48V・24V)
【画像引用】
株式会社GSユアサ製品技術資料
直流電源装置 交流無停電電源装置の概要
2.3 スイッチング整流器の概要2.3.1 基本回路構成 図6
【トランジスタ整流器】
1984年に現在のIGBTが誕生【絶縁ゲートバイポーラトランジスタ】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を主要部に組込んだ
バイポーラトランジスタ
サイリスタと同様にP-N-P-Nの4層からなる半導体素子でありながら
サイリスタ動作をさせずにMOSゲートで電流を制御できる素子
GSユアサ(旧日本電池):1990年に開発
PWM制御(パルス幅変調)
リアクトルを用いて平滑化する必要がある
現在 ↓
電力変換制御部/システム制御部を全てデジタル化
特徴:(長所)入力力率が高い・入力高調波電流抑制
(短所)高コスト
(短所)サイリスタ整流器よりサイズが大きい用途:水処理施設など
用途:水処理施設など
【画像引用】
日本電池株式会社(1995年)『GS News Technical Report100周年記念号』
GSにおける電源システム技術のあゆみ
図17 トランジスタ整流器の主回路図と動作
将来は次世代パワー半導体(SiC、Ga₂O₃等)の採用によって、高効率化、発熱量低減、装置の小型化が期待されます。
会社設立1937年の東亜電機工業はGSユアサの代理店として高い専門性やサービス体制を構築しておりますので、
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この記事はTECS事業部が執筆しました。