2022.03.09
電気設備の点検・整備における締め付け トルク管理の重要性について
「トルク」この単語に聞き覚えのある方も多いかと思います。
この「トルク」とは何か?というと、言葉の意味としては「物体を回転させる力」の事です。
しかしながら一般的には別の意味で浸透していると思います。
少し例を挙げるとすると、クルマのエンジンの能力を表す単位として、
(クルマ離れと言われている今日、エンジンの性能表を見る方も少ないと思いますが…)
もしくは「ボルト、ナット、ネジ等を締め付ける力の単位」として認識されている方が多いのではないでしょうか?
身近にある「トルク」の例
この「ボルト、ナット、ネジ等を締め付ける力」で、
一番身近な所ではクルマのタイヤ交換の際のホイールナットの締め付ける力の大きさの事かと思います。
クルマのホイールナットの場合、ボルトの大きさ等により多少の違いはありますが、
一般的に乗用車では90~110N・mです。
では、これより締め付け力が弱かったり強かったりした場合はどうなるでしょうか?
弱かった場合は容易に想像ができる通り、ナットが緩んでホイールが脱落するでしょう。
逆に強かった場合はどうなるか?というと、ナット、ボルトが破損したり、
ホイール等の締め付けられている部品が変形したりとやはり危険な状態になります。
電気設備の点検・整備における「トルク」の重要性
さて、弊社の業務である《電気設備の点検・整備》には無関係なように思えるかもしれませんが、電気設備でも締め付けトルクの管理は重要です。
電気の配線は、ブレーカ等にネジ、ボルト、ナットを用い締め付けて接続してあります。
締め付けて接続されている以上、そこにはボルト等のサイズに応じて適切なトルク値が存在します。
電気設備で適切でない締め付けを行った場合はどうなるでしょうか?
クルマのホイールのように電線は回転しないので何か問題でも??
いえ、電気設備の場合も危険です。
締め付ける力が弱かった場合、接触抵抗が増え発熱し接続部が焼損する事が考えられます。
逆に強かった場合、ホイールナットと同じでボルト、ナットを破損してしまいます。
不適切な管理が重大な事故につながるおそれ
弊社の主な業務である産業用蓄電は停電時等の非常時に非常照明の点灯させる事や、非常用発電機の始動に用いられる事が多々あります。
そのような時は接続部に大電流が流れる為、締め付けが適切でない場合、
発熱⇒接続部が溶断し非常用電源として用をなさない、最悪の場合は発火する…等という状況も十分に考えられるのです。
また、蓄電池の接続端子部は鉛に亜鉛でメッキした柔らかい物であり、過大な力で締め付けた場合は容易に変形し、接続が不適切になってしまいます。
そうならない為にもトルクレンチを使用し、ボルト、ナットのサイズに応じた適切な力で締め付けを行っています。
弊社の電気設備の点検・整備におけるトルクの管理
産業用蓄電池の新規の設置や交換の際は設備によっては膨大な数のボルト、ナットを締め付ける場合があります。
まず、接続部材を蓄電池の端子部へ取り付け手の力で仮止めした後、トルクレンチを使用します。
あってはならない事ですが、膨大な数のボルトが並んでいると締める事を忘れる事も十分に考えられます。
人はミスを犯すもの…そうならない為にも、弊社では作業責任者がWチェックを行い、
チェックマークを記入し締め忘れを防止しています。
また、一般的なトルクレンチは金属部が剥き出しですが、
電気設備、特に蓄電池は充電され常に短絡の危険性がある為、
絶縁処置を施した特殊なトルクレンチを使用し短絡、感電事故を未然に防いでいます。
当たり前のことですが、接続部のトルク値の管理をしっかり行い品質を維持し、
使用する工具も適切な物を使用する事で感電事故防止に努め、
高品質で安心、安全な施工を提供しお客様の設備に支障が無いよう、日々の作業を行っています。
電源装置、蓄電池、非常用発電機の電気設備の整備・点検は弊社まで、ご連絡をお待ちしております。
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この記事はTECS事業部が執筆しました。